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歌舞伎座 七月花形歌舞伎『四谷怪談』 [★伝統芸能]

■四谷怪談
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四谷怪談が、あの忠臣蔵の世界を元に描かれたということを恥ずかしながら始めて知った。
伊右衛門は不忠義の赤穂浪士、喜兵衛は仇の吉良なのですねー。

鶴屋南北が戯作者だが、そのアイデアの元になっているのは実際に起きた事件に由来しているとのこと。
・直助権兵衛は、二人同時に主人殺しで鈴が森で処刑された罪人がモデル。
・小仏小平とお岩の「戸板返し」は隠亡堀に情死した二人の死骸が流れ着いた事件がモデル。

また、実は文政十年に「文政寺社町方書上」という公式文書があり、そこに記載されているのが「顔がつぶれた岩に婿入りする伊右衛門。伊藤喜兵衛と(画策して)騙して離別する」と書いてあり、四谷怪談にそっくりなのだそうだ。
しかし、この文書は歌舞伎四谷怪談の上演二年後に書かれたので、どちらが元かはわからないという。

また、武家では俗に『四谷美談』と言われる「お岩はお家再興」のシンボルとして武家の妻の内助の功・美徳として伝えていることが多く、庶民の間では無念のうちに殺された『四谷怪談』の方を積極的に口伝されていたという。
まあいつの時代もどろどろした話や怖い話のほうがネタになるものだし好奇心をそそられるもの。庶民にとってより面白い方が真実になってしまうのだろう。

歌舞伎本題。伊右衛門の心変わりがあまりに短絡的にみえる。
義父を殺してまで復縁した岩に、手のひらを返して冷たくなる。場が変わった時はある程度時が経った後とはいえ、その心境の変化についていけない。
すると、そもそも伊右衛門は序幕から岩が好きというより、ただ己の体裁と支度金の着服を外聞に漏らさぬために復縁したかったとしか考えられない。
お梅と喜兵衛も、伊右衛門のしらぬ間にお岩に騙して毒を飲ませた割には、それをぬけぬけと伊右衛門に喋ってしまう。
伊右衛門に岡惚れしているお梅が、それをばらして愛想をつかされるとは思わない辺りが、伊右衛門の人となりを知っているからなのだろうけど、そんな冷血人間を好きになる神経が信じられない。
その祖父の喜兵衛は、敵討ちとして狙われている旧赤穂藩士の一人を取り込めるという利点はあるが、まぁー出てくる人間みなどうしようもない非道な奴等ばかり。

尾上菊之助は恐ろしさより薄幸の美女というたおやかな雰囲気が、哀れを誘う。薬を飲む所作が丁寧で、お岩の人となりを表していると思った。

尾上松緑は、ご本人の会見で拝見した雰囲気そのままの、いかにも男臭~い権兵衛。
野心はあるが、その場しのぎのいい加減な男。地に足の着かない浮ついたやつ。
しかし尾上松緑がやると小物というより大器晩成しそうな底知れぬあくどさを感じた。

有名な仕掛けは後半に畳み掛けるように出現するんですね。目を凝らしていないと、いつのまにか仕掛けが始まっています。
初めての生「提灯抜け」は怖いというより楽しかった(笑)
私が一番怖かったのは、伊右衛門と母親が、人に頼んでお経で身を守っているところをお岩がウロウロしているシーン。ゾンビみたいで。

しかし今回もまた会場で、「なぜここで笑うのだろう」という場面で笑いが起きた。伊右衛門が蚊帳を持っていくところで、「これだけは」と岩がしがみつき引きずられるところだ。
年の差?感覚の差?私はお岩が可哀想でほとほといや~な気持ちになったのだけど。
役者はどう思っているんだろうなぁ。

ともかくも通しだけれどあっという間に感じるほど面白かった。
夢の場を削って、お梅と直助が兄弟と知って同衾を恥じ、お梅が自害する場もぜひ入れて欲しいけど、通しでやるには長すぎてしまうのだろうな…。

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↑幕間用にお弁当を

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弁松さんの白詰め弁当

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↑こちらは赤飯使用の「赤詰め」

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↑紅白の餅が入っている「めで鯛焼き」

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↑「劇聖」と呼ばれた九代目市川団十郎

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